ぼくの町内には乙姫水神祭というまつりがある。

7月末日の夕暮れ時、乙姫川にかかる橋の上に祭壇をつくる。

水神の紋はやはり龍の爪。祝詞がはじまると各家からわらわらと人が集まり、各々丁寧にお参りをすませ、お神酒をいただくというシンプルなもの。

いつから行われているのか神主さんに聞くが、「おぉ〜わからんなぁ〜むかしっからやぁ」と。

そこから10分ほど乙姫川を登ると、息を飲むような景色が広がる。

ふわりと苔がむし、小さいけどなんとも美しい滝が現れる。

ここには確かに水神を感じる。

このまちには、いくつもの水神がまつられる。絶えず町中に用水が張り巡らされ、生活と水がともにある。生活インフラとしての水だけではない、何かがある。

湧き水は100箇所以上あると言われ、どれもすこしずつ硬度や味に違いがある。味見しながらの町歩きはいつでも楽しい。

 

僕はこの町で生まれ、当たり前のようにこの環境で育ってきたのだが、

今あらためてファインダーをのぞいて見えてくる、どこまでも透き通った

このまちの源ともいえる「水」がそこにある。「あたりまえ」にある。